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天文分光器用の静電駆動型ひさし付きマイクロシャッタアレイ

本研究の最終目標は、東京大学理学部天文センターが中心となって南米チリのアタカマ高地に計画している「東京大学アタカマ天文台」の6.5m級望遠鏡に搭載する近赤外分光器を「多天体分光器化」して、遠方銀河のディープサーベイを短時間に効率よく行う技術を開発することである。従来の分光器に搭載されていた固定金属スリット板に代わるデバイスとして、本研究室ではトーションミラー型静電駆動MEMSシャッタアレイを開発中である。今回のポスターでは、シャッタ上方に3次元的に遮蔽用の庇構造を追加した新たなデバイスについて報告する。この庇構造は、表面マイクロマシニング技術の電解めっきを用いて製作したものである。本研究では、シャッタ構造(SOI)、庇(めっき)、および、基板(シリコン基板)の3系統をそれぞれ独立した電極として活用し、任意の(X、Y)位置のシャッタの静電ラッチ、および、オープン駆動を行う新たな動作方法を考案した。

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はじめに

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左の図面は建設中の天体望遠鏡と、その主鏡のそばにある分光器の位置を表したものである。従来の多天体分光器では、金属遮蔽板に天体の位置に対応した孔を空けて、そこを通過する光を分光器に導入する方法が一般的であった。しかしながら、対象とする天体が変わるたびに遮蔽板を交換する必要があり、装置全体の冷却に必要な時間が貴重な観測時間を浪費していた。そこで、任意の天体からの光を分光器に導入できるように、MEMS技術による可変アパチャーを理学部天文センターとともに共同製作している。

静電駆動シャッタの構造

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本研究のこれまでの実施例では、SOI基板の両面をDRIE加工したSaloon Door型のトーション・シャッタを製作し、その特性を評価した。ただし、この方式のシャッタでは、サスペンション周りやシャッタ周囲に設けた隙間から迷光を生じるため、分光器のS/Nを悪くする恐れがある。そこで今回は、シャッタ周囲の隙間を塞いで遮光率を高めるために、シリコン製のシャッタの上部に金属めっき製のひさし構造を追加した。また、この庇構造を第3の電極として用いて、任意の(X、Y)位置のシャッタを静電ラッチするシーケンシャル駆動が可能であることを明らかにした。

金属メッキとシリコンDRIE加工の組み合わせ

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本研究のシャッタ構造は、幅1.5ミクロン、厚さ1.5ミクロン、長さ500ミクロン程度のきわめて細いサスペンションによって支持されている。プロセス中の破損を極力避けるために、基板貫通孔形成の前に金属めっき構造で庇を形成する手法を採用した。なお、庇とシャッタを機械的に分離するための犠牲層としてめっきの銅を用いている。また、庇構造はニッケルめっきで構成した。

マトリクス駆動実験

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本研究の設計では、SOI製のシャッタ構造は横方向に電気的に接続されている。また、めっき製の庇構造は、縦方向に接続している。これらをX、Yマトリクス駆動の電極として用いることで、任意の(X、Y)位置のシャッタ構造を庇電極側にラッチできることを示した。

紹介ポスター


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Last-modified: Wed, 18 Dec 2013 00:47:40 JST (1434d)