生研公開2007 光ファイバ内視鏡で説明したように、当研究室では微小なマイクロミラーを用いた光ファイバ内視鏡の研究開発を行っています。ここで使われる光スキャナは共振周波数300Hz程度で振動して、いつでも振幅が最大値になるように制御します。これにより、より低い電圧での駆動を可能にします。ところが、MEMSプロセスで製作したデバイス(とくにサスペンション幅)には±5%程度の寸法バラツキがあるので、どのミラーも同じ共振周波数を持つとは限りません。応用によっては、レーザートリミングなどを用いて、同じ共振周波数になるようにサスペンションの幅に補正を加えることもありますが、より現実的な補正手段は自励発振回路を集積回路として組み込むことです。
そこで本研究では、あらかじめ電圧制御発振器や分周器、移相比較器などの回路をVLSI化して、その上にMEMS光スキャナをポストプロセスにより集積化する手法を検討中です。MEMSデバイスの集積化の方法には、VLSIに損傷を与えないように、低音プロセス(たとえばスパッタ、メッキ)を検討しています。
左の図は、ミラーの角度変位を静電容量の変化として検出して、PLL(Phase Lock Loop)によって共振周波数で励振する回路のSPICE解析結果です。VCO(電圧制御発振器)の自走周波数をMEMS光スキャナの共振周波数(のN倍)に設計しておけば、PLLによりVCOの発信周波数にフィードバックが掛けられて、つねに共振周波数で励振を続けるような回路を実現できます。
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