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高速MEMS光スキャナを用いた波長可変レーザー光源による生体材料の光干渉断層画像撮影

光干渉画像法 (OCT = Optical Coherence Tomography) とは干渉によって断層画像を得る手法であり、眼底検査等の医療機器に応用されている光学原理です。従来のOCTでは、試料表面からの深さ計測に低コヒーレンス光源による干渉光学系を用いていましたが、深さ方向のスキャンが低速であるため動画像の取得が困難でした。そこで本研究では、高速光MEMSスキャナを用いて、波長を走引する方式のOCT光源を新たに開発しました。

はじめに

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ここでご紹介する光スキャナは、レーザー顕微鏡の観察部位走査のための空間光変調器ではなく、赤外光源の波長走査用に用いるものです。従来のOCT光源には、下記の写真に示すような回転するポリゴンミラーが多く用いられていました。この方式では、走査周波数が数kHzから50kHzに限定されており、動いている生体組織を観察するには適していませんでした。そこで、MEMS技術を用いて100kHz以上で波長走引できる光スキャナの開発に着手しました。

MEMS光スキャナの駆動原理

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MEMS型の光スキャナはポリゴンミラーに比べて慣性モーメントが小さいため、高速動作が期待できます。しかしながら、駆動力(静電駆動、圧電駆動、電磁駆動など)が限られているので、高速共振と大振幅を両立することは困難です。そこで本研究では、光スキャナ内部に角度変位の増幅機構を有した2自由度振動系を新たに採用しました。また、構造と製作プロセスを極力簡単にするために、SOI基板をDRIE加工した垂直櫛歯型の静電アクチュエータ機構を利用しています。

一般の垂直櫛歯型の光スキャナは、アクチュエータの板とミラーが一体化されているため、それらの角度変位はいつでも等しくなっています。その一方で、本研究の2自由度振動系では、アクチュエータの板とミラーを別の捻りバネで結合しています。これらの部材の慣性モーメントと捻り剛性をFEMを用いて最適化すると、ある周波数で、アクチュエータ板の振動の数倍の振幅がミラーに伝達されることが分かります。本研究では、この振幅拡大機構を利用して、高い共振周波数であっても大振幅(数度)で振動するMEMS光スキャナを実現しました。

製作方法

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光スキャナの製作方法は、マスク2枚のみの大変簡単なプロセスです。SOI基板の両面をDRIE加工して、最後に中間酸化膜を選択的に除去します。垂直櫛歯型静電アクチュエータの起動を速やかに行うためには、固定櫛歯と可動櫛歯の間に段差(オフセット)が必要です。そのオフセットを極力簡単なプロセスで実現するために、本研究ではプロセス最後のリリース・乾燥時に発生するプロセス・スティクション(固着)を用いて、自動的に櫛歯のオフセットが形成される組立方法を考案しました。

性能

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駆動電圧DC70±AC70V駆動で、共振周波数70kHz、ビーム偏向角6.5°が得られました。振幅の往復を利用しているので、140kHzでの波長走引が可能です。この結果、従来に比べて画像の横方向の解像度が改善されています。また、メダカのエラの動きなどの生体試料も明瞭に観察できるようになりました。

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謝辞

本研究は、サンテック株式会社との共同研究として実施中です。

紹介ポスター

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Last-modified: Sat, 27 Apr 2013 14:57:16 JST (1612d)