MEMS技術を用いて製作したシリコン製の共振器には、一般的には静電結合による変位検出が用いられています。ところがこの方法では、共振器の周波数が高くなると静電容量が小さくなるために、高周波数化に伴って検出が難しくなります。一方、電界放出電流はデバイスの小型化に伴い、逆に電流が大きくなる傾向にあります。しかも、電界放出電流は端子間距離に敏感なために、変位の検出機構としても有利です。本研究では、シリコンマイクロマシニング技術を用いて共振子と電界放出ティップを集積化し、変位検出機構としてのスケーリングの効果を評価しています。
原理検証の実験のために、SOI基板の表面をDRIE加工して、電界放出ティップを基板面内で振動させる静電駆動機構を集積化しました。静電駆動機構に共振周波数の交流電圧を印加して、ティップにμmレベルの振動を与えます。このとき、電界放出電流に変調がかかるので、その電流を観測することで、共振子の振動の大きさを計測することができます。
超高真空中でティップ間の電流ー電圧特性を計測し、それをFowler-Nordheimプロットと呼ばれる式で変換して表示したものです。この分布が右下がりの直線にフィットするときに、電界放出電流であることが確認できます。
IIS Open House 2007のページに戻る