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LTspiceを用いたCMOS−MEMSのためのマルチフィジクス解析手法に関する研究

MEMS分野は電気系、機械系、化学系、流体系、光学系など、さまざまな領域が融合した分野であるため、複数の物理現象を同時に取り扱うマルチフィジクス的な統合解析・設計手法が必要です。しかしながら、従来のMEMS解析ソフトでは、マイクロ機械構造の3次元的な動作の解析に主眼が置かれておりました。このため、MEMSアクチュエータ・センサを電気回路と組み合わせたときのシステム全体の挙動を解析する用途には、案外、複雑なCAD操作が必要でした。そこで本研究では、機械系の運動方程式とアクチュエータ出力を等価回路モデル化して、電気回路シミュレータ上で解析する簡便な手法を考案しました。

はじめに

Fig1.png

従来の解析手法では、たとえば垂直櫛歯型アクチュエータのフォトマスク(2次元)をもとに3次元メッシュモデルを構築して、機械的な応力と歪の関係を計算するとともに、同じモデルを静電解析にも利用して、変位と静電容量の関係を計算します。さらに、変位-静電容量の関係から静電引力(dC/dx)の関係を導出します。これらの結果をデータベース化して統合設計ツールに手渡すことで、電圧と機械歪みの関係を計算する方法が一般的でした。このため、マスク上の一部を修正すれば、一連の解析を最初からやり直す必要がありました。

等価回路モデル

Fig2.png

一方、本研究の手法では、静電アクチュエータやサスペンションなどの部品の入出力関係を解析的にモデル化して、それを数式で表します。その上で、回路シミュレータの非線形従属電流源(数式で電流値を記述する)を用いて、力と変位を電流や電圧で表現します。これらを電気回路シミュレータの上で表現して、あたかもアナログ計算機を走らせるようにして、機械系の運動方程式を解析します。

Fig3.png

本研究の手法を用いて平行平板型静電アクチュエータの変位-電圧関係を解析した結果を示します。このアクチュエータには、初期ギャップの1/3だけ変位した時点で変位が跳躍する「静電プルイン」と呼ばれる現象が知られています。本研究の解析では、この様子が再現できており、紙と鉛筆を用いた解析的な計算結果(図の◯印)とよく一致しています。しかも、本研究の手法では、プルイン後の変位の固着の様子と、電圧降下後の変位リリースのタイミングまで計算できるという特徴があり、静電アクチュエータ固有の電圧-変位ヒステリシス・ループを忠実に再現できています。

解析例

Fig4.png

また、本研究の手法はベースが電気回路シミュレータなので、機械系と電気系の統合解析は当然可能です。図では、静電駆動アクチュエータをシリコン共振子として扱って、コルピッツ共振回路を用いて発振させる様子を示しています。

まとめ

Table1.png

本研究の手法では、サスペンションや静電駆動電極、運動方程式(質量)を集中定数として扱っていますので、短時間での計算が可能です。安定した発振を持続するパラメタ条件が分かったら、そのパラメタを実現するための機械的構造を、従来の3次元CADを用いて設計します。これにより、最初から3次元CADを用いるよりも、効率よくシステム全体のパラメタ最適化することが可能です。

紹介ポスター


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Last-modified: Thu, 25 Apr 2013 13:16:25 JST (1615d)